近年、オウンドメディアの重要性が高まり、多くの企業がオウンドメディアの運営に取り組んでいます。
しかし、いざ立ち上げても、思うような成果が出ず、閉鎖に追い込まれる企業も少なくありません。
なぜ、オウンドメディア運営はうまくいかないのでしょうか。
今回はオウンドメディアが失敗してしまう理由とその対策について、詳しく解説していきます。
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オウンドメディアが失敗してしまう理由
オウンドメディアが失敗してしまう理由はさまざま。
- 目的を決めていない
- 運営体制が整っていない
- 社内の理解が得られていない
- コンテンツの品質が低い
- 更新をストップしてしまう
- ターゲットニーズを把握していない
- デザインにこだわりすぎてしまう
- 炎上するような表現を使っている
- 自社サービスの宣伝ばかりになっている
- 身内ネタが多い
- 導線が設計されていない
- 効果測定をしていない
それぞれ分かりやすく説明していきます。
自社に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
目的を決めていない
オウンドメディアを運営する目的が明確になっていないとコンテンツの方向性がブレてしまい、成果につながりにくいです。
例えば初心者を目的としたオウンドメディアなのに専門的な内容ばかりのコンテンツを作成していると、ユーザーの興味を引くことができず、離脱率が高まってしまいます。
オウンドメディアを成功させるためには、まずは目的を明確にして、それに沿ったコンテンツを作成することが大切なのです。
運営体制が整っていない
オウンドメディアの運営には、コンテンツの企画・制作・更新だけでなく、アクセス解析や効果測定・問い合わせ対応など、さまざまな業務が含まれます。
運営体制が整っていないと、コンテンツの品質が低下したり、アクセス解析や効果測定が不十分になったりと問題が起きてしまいます。
サイト運営を効率的に進めるためには、運営体制を整えることが重要なのです。
- 運営責任者は任命しましたか?
- コンテンツ企画・制作・更新などの役割分担を行なっていますか?
- アクセス解析や効果測定を担当するメンバーを決めましたか?
- 問い合わせ対応の担当を決めましたか?
自社内に適した人材がいなければ、プロに頼ることも検討しましょう。
例えば記事を書ける人がいない場合は外部のライターや編集長に依頼します。
オウンドメディアの運営を効率化し、成果を上げやすくするために、運営体制を見直してみてください。
社内の理解が得られていない
オウンドメディアの運営には社内の理解と協力が不可欠です。
例えば過去のお問い合わせから記事ネタを探したい場合、カスタマーセンター(お客様相談窓口)に「履歴を確認させてほしい」と頼むでしょう。
製品やサービスに対する顧客から出た意見や要望を共有してもらうことで、お宝情報が見つかるかもしれません。
オウンドメディアを運営する目的や目標・運営体制などを社内に周知し、重要性を分かってもらうように工夫しましょう。
また、オウンドメディアの成果を定期的に社内に報告すると、社員のモチベーションを維持できます。
「会社全体でオウンドメディアを作り上げていくんだ」という気持ちを伝えていきましょう。
コンテンツの品質が低い
オウンドメディアのコンテンツは、ユーザーの興味・関心を惹きつけ、自社の商品やサービスに興味を持ってもらうための重要な役割を担っています。
質の低いコンテンツでは、ユーザーの興味を引くことができません。
また、サイトのSEO評価が低ければ、検索結果で上位表示されるのも難しいでしょう。
Googleは「E-E-A-T」という基準によってコンテンツを評価しています。
Experience(経験)
コンテンツ制作者がどれだけ経験豊富かが重要です。
実体験に基づいた情報や洞察を提供することで、読者は信頼感を抱きやすくなります。
Expertise(専門性)
コンテンツは専門知識に基づいている必要があります。
特定の分野に関する深い知識を提供するとコンテンツの価値が高まります。
Authoritativeness(権威性)
「権威性」とは、コンテンツの作成者が信頼できる専門家かどうか(その分野で権威を持っているかどうか)を指します。
- 執筆者や編集者の資格、経歴、実績などを明記する
- 専門家へのインタビューや取材を行う
- 研究や調査結果を引用する
- 第三者のレビューや評価を掲載する
- 定期的に更新して、最新の情報を提供する
Trustworthiness(信頼性)
虚偽の情報や誤った情報を提供しないことが信頼性の鍵です。
正確で信頼性のある情報を提供し、読者との信頼関係を築きましょう。
更新をストップしてしまう
オウンドメディアを成功させるためには、定期的なコンテンツの更新が欠かせません。
Google検索エンジンにオウンドメディアを評価してもらうためには一定数のコンテンツが必要です。
経験上、100記事程度のコンテンツがあると、Googleからの評価が向上し、上位表示できる記事が増える傾向があります。
50記事以下など、記事数が少ない状態で「結果が出ないオウンドメディアにこれ以上コストをかけられない」と判断するのは早計と言えるでしょう。
ターゲットニーズを把握していない
検索から多くのユーザーを引き込むためにはSEO対策が重要、というのはご存じかと思います。
しかし、単に検索ボリュームの多いキーワードでなく、見込み客が実際に検索するであろうキーワードを選定する必要があります。
例えば数万回検索されるキーワードを選定してアクセスが増えても、ターゲット層以外のユーザーかもしれません。
自社商品やサービスを必要としていないので、CVR(コンバージョン率)やCTR(クリック率)が低くなります。
アクセスはそれなりにあるのにサイトの成果につながらない場合は、見込み客の求める情報や解決策を提供できているかどうか見直す必要があるでしょう。
サイトデザインやロゴに凝りすぎている
サイトデザインやロゴに時間とリソースを多く割くことで、オウンドメディアの立ち上げが遅れる企業も存在します。
しかし、オウンドメディアの成功において、最も鍵となるのは記事の内容です。
魅力的なデザイン・ロゴも重要なのですが、印象を良くする手段の一部に過ぎません。
記事の内容が読者の興味を引きつけ、価値を提供できるかどうかが、オウンドメディアの成功を左右します。
視覚的な要素に時間を使いすぎていませんか?色味やフォントを微調整していませんか?
デザインはほどほどに、記事の制作に注力していきましょう。
炎上するような表現を使っている
炎上はオウンドメディアのイメージだけでなく、企業のブランド価値まで傷つける可能性があるため回避したいものです。
意図的でなくても、差別的な表現や過激な思想に偏った内容がコンテンツに含まれることがあります。
公開時には何も問題がなかったとしても、オウンドメディアが成長しアクセス数が増えると、SNSなどを通じて急に炎上するケースも考えられます。
このような事態を避けるために、「複数人のチェック」や「定期的な見直し」をおすすめします。
コンテンツの表現や内容が時代の価値観に沿っているかを確認し、必要に応じて修正しましょう。
自社サービスの宣伝ばかりになっている
オウンドメディアは、読者にとって有益な情報を提供することで信頼を獲得し、自社や商品・サービスを知ってもらうためのメディアです。
そのため自社サービスの宣伝ばかりになっているオウンドメディアは読者にとって魅力がなく、離脱率が高くなります。
また、信頼を失い、企業のブランド価値も低下する可能性もあります。
自社の商品やサービスを紹介すること自体は悪くないのですが、それがコンテンツの全体を占めていては読者は置いてきぼりです。
「問題を解決する方法や知識を得られるコンテンツを提供できるか」を重視してください。
自社の商品やサービスを紹介する際には、ユーザーのニーズを満たした後に紹介する流れを意識しましょう。
課題や関心事を解決するための情報やアドバイスを提供し、その後に自社のソリューションを提示します。
そうすれば読者は自然な形で商品やサービスに興味を持つでしょう。
身内ネタが多い
オウンドメディアに社内行事や社員の日記を頻繁に掲載していませんか?
いわゆる身内ネタは、特定の読者層には関心があるかもしれません。
しかしオウンドメディアが成功するためには、ユーザーの問題を解決する情報や検索上位に入るようなコンテンツが必要です。
身内ネタばかりのオウンドメディアはユーザーにとって魅力が低く、オウンドメディアの目的を達成することは難しくなります。
企業内部の情報やエピソードを活用するのは良いアイデアですが、「読者にとって有益か」を確認し、バランスを取りましょう。
成約につなげるための導線ができていない
オウンドメディアは、ユーザーに自社商品・サービスを知ってもらい、購入や利用を促進するために運営されます。
しかし、アクセスが増えても、購入や利用に即つながるとは限りません。
行動を促すCTA(Call to Action)を置いていなかったり、訴求ポイントがずれていたりすると、「記事を読んで終わり」になってしまいます。
たとえ商品・サービスに興味を持った人がいても「次のステップが何か」「問い合わせページはどこか」分からなければ諦めてしまうでしょう。
読者が次に取るべき行動や購入手続きに進む方法を明確に示す必要があるのです。
- 購入ボタンは設置されていますか?
- 連絡先(電話番号や問い合わせフォーム)を表示していますか?
- 特別なオファーを提示していますか?
スムーズな導線へ改善することで、ユーザーが自社商品・サービスを購入や利用する可能性が高まります。
効果測定をしていない
オウンドメディアの成果を測定しないと、改善すべき点がわからないまま無駄な運営を続けることになりかねません。
オウンドメディアはPDCAサイクルを回しながら改善を続けることが重要です。
効果測定には以下のような指標を活用します。
- アクセス数
- ページビュー数
- 滞在時間
- 流入元
- コンバージョン率
定期的な測定と改善プロセスを組み込むことで、オウンドメディアは効果的なツールとして成果を上げ、目標達成に向けて進化していくでしょう。
オウンドメディアよくある失敗への対策
オウンドメディアが失敗してしまう理由がわかれば対策が取れます。
ここからは時間や手間・お金を無駄にしないために、押さえておきたいポイントを紹介します。
目的をしっかり決める
オウンドメディアの目的が設定されていない場合、コンテンツがバラバラで統一感がなく、効果を評価する際にも目標が明確でないため、失敗のリスクが高まります。
これからオウンドメディアを立ち上げる企業も、すでに運営している企業も、目的は必ず設定しましょう。
- 自社商品やサービスの認知度を高める
- 潜在顧客を集める
- リード獲得を行う
- ブランディングを行う
- 社内の情報共有や教育を行う
オウンドメディアの目的が明確であれば、コンテンツの制作や運用の方向性を定めるのが容易になります。
また、社内で目的を共有していれば、全体が同じ方向に向かって協力し、オウンドメディアの成功への近道となります。
まずは結果を求めず更新を続けていく
オウンドメディアは軌道に乗るまでには時間がかかります。
特に、開設当初はアクセスも少なく、検索順位も低いため、成果が出ないことに焦りを感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、このような苦しい時期こそ、更新頻度を維持しましょう。
オウンドメディアは100記事を超えたあたりからアクセスが増え始める傾向があります。
アクセス解析を始めるのは100記事以上公開してからでいいくらいです。
要するに、オウンドメディアの運営は長期的な視点で取り組むことが成功の鍵です。
質の高いコンテンツを作る
低品質な記事を大量に生産してアクセスが集まったとしても、読者はリピートせず、商品購入にもつながりません。
一方で、高品質な記事が1つだけでは読者に見つけてもらえず、サイトの評価も向上しません。
「ユーザーが満足する質の高いコンテンツをできるだけ多く制作する」このバランスが大切です。
質の高いコンテンツ、つまりE-E-A-Tを満たすコンテンツを心がけましょう。
読者が価値を感じるコンテンツを提供するために、時間や費用の許す限りアンケート調査や専門家へのインタビューなどを試みてください。
読者がしっかり読み込む(長時間留まる)ようなページに仕上げれば、SEO対策にもつながります。
分析・改善をくり返す
オウンドメディアは、常に変化するユーザーのニーズやトレンドに合わせて、コンテンツを改善していく必要があります。
定期的にアクセス解析を行い、ユーザーの行動を分析して、課題を見つける。
施策を実施し、その結果を分析して、効果を検証する。
このサイクルを繰り返すことで、オウンドメディアの成果を向上させることができます。
例えば、ページ滞在時間が短い場合は、導入文を改善したり、内部リンクを提供したりして、読者の関心を引くよう工夫します。
絶え間ない改善のプロセスを通じて、オウンドメディアの品質と効果を向上させ、成功へと近づいていきましょう。
まとめ
オウンドメディアは、企業のマーケティング活動において重要な役割を果たすツールです。
しかし、「なんとなくコンテンツを更新しているだけ」「とりあえず他社がやっているから」という考えでは失敗につながる可能性があります。
オウンドメディアを成功させるために、目的やターゲット設定を明確にし、質の高いコンテンツを継続的に制作し、分析・改善を繰り返しましょう。
また、オウンドメディアは軌道に乗るまでには時間がかかります。
成果が出ないことに焦らず、努力と改善を続けていきましょう。