- アクセスはあるのに、反応が少ない…
- サイトから資料請求や商談にどうつなげればいいのか分からない
そのように感じているなら、GA4の「維持率」や「コホート分析」に注目してみましょう。
初めて訪問したユーザーが、その後どれくらい再訪しているかを、具体的な数字で確認できます。
この記事では、GA4における維持率の基本から、コホート分析の使い方、さらに改善に役立つヒントまでをわかりやすく解説します。

リンキープス ライター兼コンサル
これまで書いた記事は2,500以上、上位10位以内 獲得多数。
「ウェブ解析士」の資格を持っているため、執筆から検証まですばやくPDCAを回せます。
集客・売上UPのため、文章にとことんこだわります!
記事で悩んでいる方はぜひご相談ください。
GA4における「維持率」とは?
まずは、GA4における「維持率」とは何かを把握しましょう。Google公式の定義や、旧バージョンであるユニバーサルアナリティクス(UA)との違いも見ていきます。
維持率の定義
「ユーザー維持率」とは、ある日サイトに初めて訪れた人が、その後どれくらいの割合で再び訪問してくれたかを示す指標です。
たとえば、7月1日に来てくれたユーザーが、7月3日・4日にも来ていれば、その分だけ「維持されている」とカウントされます。
[ユーザー維持率] には、初めてアクセスしてからの 42 日間にサイトまたはアプリに再度アクセスしたユーザーの割合が日別に表示されます。ユーザーが初めてアクセスした日のユーザー維持率を 100% としています。日ごとにユーザー数が減少するにつれて、ユーザー維持率は減少します。
維持率の目安
「ユーザー維持率は何%なら良いのか?」と疑問に思うかもしれません。
確かに、維持率が高いほどリピーターやファンが定着している状態といえますが、「高い」の基準はサイトの内容によってまったく異なります。
たとえば、「BtoCのECサイトへの誘導」が目的の記事であれば、セール情報やクーポンなどの施策により、維持率が10〜15%あれば優秀でしょう。
大切なのは「何%が良いか」ではなく、自社の過去データと比較して改善しているかどうかを見ることです。
「コホート」とは
GA4では、「コホート分析」という少し聞き慣れない用語が出てきます。
簡単に言えば、同じタイミングで行動をとったユーザーをひとつのグループ(=コホート)として扱い、その後の動きを観察する方法です。
[コホート別のユーザー維持率] では、サイトまたはアプリのユーザー維持率をコホート別に確認できます。コホートは、一定の基準でグループ化されたユーザーの集まりです。この場合のコホートはユーザーの獲得(初回アクセス)日です。
たとえば、「7月1日に初めてサイトを訪れた人たち」を1つのコホートとします。そして、このグループが翌日、3日後、1週間後にどれくらい再訪しているかをチェックすることで、ユーザーの定着しやすさが見えてきます。
GA4のレポート画面には「コホート別のユーザーのアクティビティ」という項目があり、セルの色の濃淡で、どこで離脱が多いかが直感的にわかる仕組みになっています。
ユニバーサルアナリティクスとの違い
旧バージョンであるUAでも「リピーター」や「再訪率」といったデータは確認できましたが、GA4ではより柔軟に分析できるようになっています。
例えば「いつ来たユーザーが、どれだけ残っているか」を時間軸で追えるため、リテンション(定着)を重視するサイト改善には欠かせません。
「広告やキャンペーンで集めたユーザーが、すぐ離脱していないか?」をチェックするのにも役立ちますよ。
GA4のコホート分析で維持率を確認する方法
維持率を分析するには、GA4の「コホート分析」を使います。でも正直ちょっと操作がややこしくて、実際に触ってみないとイメージしにくい部分もあるんですよね。
ここでは、コホート分析レポートの「どこを見ればいいか」「何がわかるのか」を紹介します。
スナップショットを確認する
GA4にログインし、レポートをクリックすると、画面下部に「コホート別のユーザーのアクティビティ」というレポートが表示されます。
セルの色が濃いほどユーザーが残っていて、色が薄くなるほど離脱が多いという意味です。
たとえば「7月1日に初めてサイトに来たユーザー」が、翌日・翌週にどれだけアクションを起こしたかを直感的に確認できます。
もっと詳しく見たい場合は、表の下にある「維持率を表示」をクリックしてみてください(※次の見出しで解説します)。
ライフサイクルから確認する
画面左メニューから、レポート → ライフサイクル → 収益化 → 維持率 と進むと、複数のレポートが表示されます。
ここでは、「リピーター」がどのタイミングで再訪しているかを、日別・週別に確認できます。数字の推移に大きな変化がある箇所があれば、施策の成果や改善ポイントの手がかりになります。
以下に、維持率に関連するレポートをまとめました。
レポート名 | 内容 |
---|---|
新規ユーザー数・リピータ数 | デフォルトは過去28日間の合計。サイトに初めて来た人と、再訪した人の数 |
コホート別のユーザー維持率 | 初回訪問の翌日(2日目)、7日後(8日目)、30日後(31日目)の再訪割合 |
コホート別のユーザーエンゲージメント | 同じく2日目・8日目・31日目における平均滞在時間を比較 |
ユーザー維持率 | 初回来訪を100%とした場合、42日間のうちどの時点で再訪されているかをグラフで表示 |
ユーザーエンゲージメント | 初回から42日間に再訪したユーザーの平均エンゲージメント時間 |
120日間の平均値 | 新規ユーザーの初回訪問から最大120日間の平均収益 |
探索レポートを作る
GA4の「探索レポート」を使えば、流入元やデバイス別に、どのユーザーが定着しやすいかを細かく分析できます。
標準レポートでは見えない「クロス集計」も可能なので、施策ごとの反応の違いを見たいときにもぴったりです。
- GA4の「探索」をクリック
左メニューの「探索」タブをクリックし、「コホートデータ探索」を選択します。
- ディメンションを設定する
「内訳」欄にドラッグ&ドロップ、または選択します。
「デバイスカテゴリ」や「地域」などを表示させたいときはディメンションの「+(追加)」から登録します。
- コホートの条件を決める
「コホートへの登録条件」で、起点となるイベントを選択します。
「初回接触(ユーザー獲得日)」「すべてのコンバージョン」「すべてのトランザクション」などから選べます。
- 指標を設定する
「値」は「アクティブユーザー」「イベント数」などから選びます。
「コンバージョン数」や「平均セッション継続時間」を表示させたいときは指標の「+(追加)」から登録します。
- 結果を確認する
右側に結果が表示されます。自動保存のため、そのまま閉じても構いません。
再度確認したい場合は左メニュー「探索」をクリックしてください。画面下部に履歴が表示されています。
維持率をサイト改善に使うコツ
「維持率から何を読み取り、どう改善につなげるか」が重要です。ここでは、維持率をもとに行えるコンテンツ改善や再訪施策を紹介します。
ランディングページを見直す
維持率が初日で大きく下がっているなら、ユーザーが最初に開いたページ=ランディングページに課題があるかもしれません。
コンテンツのボリュームが少なすぎて「読む価値がなかった」と思われていたり、内容と検索意図がズレていたりすると、すぐに離脱されがちです。
また、「続きを読みたくなるCTA(次の行動を促す案内)」や、他のページへの導線が不足しているケースもあります。ユーザーが自然とサイト内を回遊できるように、見出し構成やリンク設計も見直すことをおすすめします。
ランディングページの見方・改善方法は以下の記事で解説しています。あわせてチェックしてみてください。
コンテンツをシリーズ化する
1記事完結型のコンテンツも悪くはありませんが、「また続きを読みに来よう」と思わせる仕掛けがあると、再訪のきっかけになります。
そこで効果的なのがシリーズ型コンテンツです。特にBtoB企業のブログでは、専門性や網羅性を打ち出す意味でもシリーズ化は有効な手法といえます。
たとえば、「Web集客の基本①〜⑤」「SEO改善ステップ 前編・後編」のようにテーマを分割すると、ユーザーの興味を次回へつなげやすくなります。
記事同士を内部リンクでつなぎ、導線を明確にしておくことも忘れずに。
マーケティング施策を評価する
GA4の維持率は、広告やキャンペーン施策の効果を検証する指標としても活用できます。
たとえば「リスティング広告から流入したユーザー」と「自然検索で来たユーザー」とで維持率を比べてみると、どちらが継続的にサイトを利用しているかが見えてきます。
維持率が高ければ、それだけ将来的なコンバージョンやLTV(顧客生涯価値)にもつながる可能性があるという判断ができます。
単なるアクセス数だけでなく、質の高いユーザーを獲得できているかどうかを見極めるためにも、維持率をチェックすることが重要です。
ホワイトペーパー請求ユーザーを追う
GA4の「探索レポート」を使えば、ホワイトペーパーを請求したユーザーが、その後どれくらい再訪しているかも追いかけることができます。
まずは、「ホワイトペーパー請求イベント」を起点としたコホートを作成しましょう。請求日ごとにユーザーをグループ化し、日や週単位で、再訪回数・閲覧したページ・問い合わせ・商談などのアクションを時系列で確認します。
あわせて、一般流入ユーザーや他のコンバージョン起点のコホートとも比較すると、「ホワイトペーパーがどのくらい質の高い見込み客を生んでいるか」が明確になります。
維持率が高く、次のアクションにもつながっているなら、リード獲得だけでなく育成(ナーチャリング)にも貢献していると判断できるでしょう。
メルマガ・LINEでリマインドを送る
初回訪問のあと、何のアクションもなければユーザーの記憶からサイトはすぐに消えてしまいます。
そこで有効なのが、LINEやメルマガによるリマインドです。
具体的には、記事を読み終えた直後にLINE登録を促したり、資料請求後にセグメント別のメルマガを配信したりすると、再訪のきっかけを作れます。
配信する内容はユーザーの関心に沿ったコンテンツがおすすめですが、「前回の続きはこちら」といった誘導もあると効果的です。
まとめ
今回は、GA4における「維持率」の定義、確認方法や活用方法について紹介しました。
コホート分析を使えば、ユーザーがどのくらい定着しているかを可視化でき、コンテンツや施策の改善にもつなげやすくなります。
アクセス数だけではわからない「ファンの育ち方」を見るには、維持率はとても有効な指標です。サイトから商談・売上へつなげるために、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
以下の記事では、サイト内行動(ページ遷移)を確認する方法を紹介しています。あわせてチェックしてみてはいかがでしょうか。