「漢字とひらがな、どっちで書くべき?」と迷うことはありませんか?漢字で表現できる言葉をひらがなであらわすことを「ひらく(開く)」と言います。
漢字とひらがなのバランスは「3:7」がよいとされていますが、具体的にどの漢字をひらけばいいのかイマイチわからないんですよね。そこで今回は、現役ライターが「漢字をひらく」基準を紹介します。
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漢字ではなく、ひらがなにする基準
現役ライターの私が考えている、漢字をひらがなにするべき基準は5つあります。
- 読み方が複数ある漢字はひらく
- 使い分けに迷う漢字はひらく
- 意味を持たない漢字はひらく
- 丁寧な言葉の漢字はひらく
- 言葉を説明する”副詞”はひらく
詳しく見ていきましょう。
読み方が複数ある漢字はひらく
「訳(やく / わけ)」のように、読み方や意味が複数ある言葉はひらきます。読者が「どっちだろう?」と迷わずに済むので、ストレスを感じにくくなります。
漢字 | ひらく1 | ひらく2 |
---|---|---|
訳 | やく | わけ |
方 | かた | ほう |
辛い | つらい | からい |
行った | いった | おこなった |
一時 | いちじ | いっとき |
下手 | へた | したて |
上手 | じょうず | かみて |
人事 | じんじ | ひとごと |
夫婦 | ふうふ | めおと |
何時 | なんじ | いつ |
生物 | いきもの | せいぶつ |
細々 | こまごま | ほそぼそ |
銀杏 | いちょう | ぎんなん |
臭い | におい | くさい |
開ける | あける | ひらける |
汚れ | よごれ | けがれ |
空いた | あいた | すいた |
止める | とめる | やめる |
使い分けに迷う漢字はひらく
使い分けに迷う漢字はひらがなでOK!もし読んでいる人が「この漢字違うんじゃない?」と考え始めてしまったら、記事の内容が頭に入らないですよね。漢字を調べに別のページに飛んでしまうかもしれません。
「どっちの漢字だっけ?」と迷うような漢字は、ひらがなで濁すのもひとつの手ですよ。
ひらく | 漢字1 | 漢字2 |
---|---|---|
かわる | 変わる | 代わる |
かたい | 硬い | 固い |
みる | 見る | 観る |
きく | 聞く | 聴く |
のぼる | 登る | 上る |
あたたかい | 温かい | 暖かい |
はかる | 図る | 測る |
もと | 元 | 本 |
意味を持たない漢字はひらく
「そんなこと、これまで知らなかった」の「こと」は形式名詞に分類されます。このように、特別な意味を持たない形式名詞はひらがなで表記するのが一般的です。
漢字 | ひらく | 例文 |
---|---|---|
事 | こと | そんなこと、これまで知らなかった |
物 | もの | 人の性格はなかなか変わらないものだ |
時 | とき | 今度あったときに話すよ |
所 | ところ | いまから出かけるところです |
筈 | はず | きっと上手くいくはず! |
通り | とおり | 彼の言うとおりだった |
為 | ため | 何のために生まれて何をして生きるのか |
丁寧な言葉の漢字はひらく
丁寧な言葉遣いでは漢字を多く使いがち。特に敬語(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使う文では、漢字とひらがなのバランスが偏りますよね。
しかし漢字が多い文章は「堅苦しい」「難しい」といった印象を与えてしまいます。最後まで読まれずに離脱されてしまうかも…。
記事では読みやすさを優先して、積極的に開きましょう。
漢字 | ひらく | 例文 |
---|---|---|
予め | あらかじめ | あらかじめご了承ください |
致します | いたします | ご連絡いたします |
下さい | ください | ご確認ください |
頂く | いただく | お越しいただき、ありがとうございます |
御座います | ございます | お越しいただき、ありがとうございます |
及び | および | 乗客および乗務員 |
更に | さらに | さらに効果が期待できます |
尚 | なお | なお、詳細はこちらをご覧ください |
何卒 | なにとぞ | なにとぞよろしくお願いいたします |
宜しく | よろしく | なにとぞよろしくお願いいたします |
後程 | のちほど | のちほどお電話しますね |
大変 | たいへん | たいへん長らくお待たせしました |
未だ | いまだ | いまだに返事が来ない |
言葉を説明する”副詞”はひらく
他の言葉を詳しく説明する語句を「副詞」と言います。副詞と言われてもピンとこないかもしれません。
具体的には「もっとも」「ほとんど」「まったく」といった言葉です。以下のような副詞はひらがなで表記するケースが多いです。
漢字 | ひらく | 例文 |
---|---|---|
尤も | もっとも | ごもっともな質問です |
殆ど | ほとんど | ほとんど食べていない |
全く | まったく | まったく気づきませんでした |
直ぐに | すぐに | すぐにご連絡いたします |
忽ち | たちまち | たちまち品切れになった |
一層 | いっそう | いっそう文章が上手になっていた |
勿論 | もちろん | もちろん出席します |
暫く | しばらく | しばらくお待ちください |
何故 | なぜ | なぜこんなに暑いのか |
漢字をひらくべきか迷ったら!おすすめの本
漢字の「ひらく」「とじる」についてもっと知りたいなら『記者ハンドブック』がおすすめです。『記者ハンドブック』は書き方のルールを共同通信社がまとめた本です。
ひらがなにする言葉に加えて、送り仮名の付け方や間違えやすい言葉なども載っています。
なぜ、漢字をひらく必要があるのか?
漢字の「ひらく」「とじる」には明確なルールはありません。「覚えるの大変だな」「いちいち確認するの面倒だな」と思ったかもしれません。
「全部漢字にしてしまえばいいじゃないか」…確かに、そのほうが書く側はラクです。しかし読む側としてはどうでしょうか?
例えば、記事最後のまとめ部分でよく使われる表現を漢字多めで書いてみましょう。
如何でしたか。この記事を参考に貴方も是非試してみて下さいね。
固すぎる!パッと見ただけでも読む気なくなりますよね。では、ひらがな多めにしたパターンを見てみましょう。
いかがでしたか。この記事を参考にあなたもぜひ試してみてくださいね。
同じ文章でも、漢字をひらくとグッと読みやすくなり、やわらかい印象も感じますね。漢字をひらくのは「読みやすさ」「親しみやすさ」を演出するためなのです。
まとめ
今回は現役ライターが「漢字をひらく」基準を紹介しました。
- 読み方が複数ある漢字はひらく
- 使い分けに迷う漢字はひらく
- 意味を持たない漢字はひらく
- 丁寧な言葉の漢字はひらく
- 言葉を説明する”副詞”はひらく
5つの基準を覚えれば、「この言葉は漢字か?ひらがなか?」と悩む時間が短くなりますよ。適度に漢字をひらいて、読者に「読みやすい」と思ってもらえる記事を目指しましょう。