ホームページ運営には多くの法律が関わり、大きなトラブルに発展するリスクがあります。
そこで今回はホームページを運営する上で知っておきたい法律その対処法を紹介します。

不正競争防止法

「不正競争防止法」は、事業者間の公正な競争を確保することを目的に制定された法律です。
例えば他社製品とまったく同じ商品を作り出すと「商品形態模倣行為」という禁止事項にあたります。

ホームページを運営する際も注意が必要です。
ホームページを制作・リニューアルするときには競合他社のサイトをチェックするかと思います。

多少参考にする程度なら構いませんが、酷似したホームページを作ると「周知表示混同惹起(じゃっき)行為」にあたります
「周知表示混同惹起行為」とは、簡単に言えば「他の商品のように見せて、売っている」ことを意味します。

ホームページに載せた文章や画像・動画が似過ぎている場合、差止請求の対象となります。

そっくりなホームページのせいで混同してしまうんですね。

オリジナリティを出そう

競合他社のサイトを丸パクリするのはNGです。
ホームページを自分で作成する場合も外注する場合も、参考サイトをそのままコピーしてはいけません。

業界全体の傾向を把握し、そして差別化を図ることが大事です。
「自社の強みをどのように伝えるか」「自分ならどのようにアレンジするか」を考えて、オリジナリティを出しましょう。

薬機法

「薬機法」の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。
その名の通り、医薬品や医療機器に関する表示を規制する法律です。

注意したいのは、規制対象は医薬品や医療機器に限らず、”体の変化をうたう”ものも含まれる点です。
例えば化粧品やサプリメントを宣伝する際、「10歳若返る」「バストアップ」といった表現は認められません。

記事を外注する場合やアフィリエイターやインフルエンサーにPRを依頼する場合は、特に注意が必要です。

ツールを使ってチェックしよう

薬機法の知識を持つ人に記事を書いてもらうのがベターですが、そうでない場合は納品物のチェックを行いましょう。
1フレーズのみなら、無料でチェックできるツールがあります

例えば「若返る」というフレーズはNGだと確認できます。
文章全体をチェックしてほしいときはツールを月額契約するか、弁護士やコンサルタントに依頼しましょう。

景品表示法  

「景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)」は、商品やサービスを正しく選べるように表現を規制する法律です。

実際よりも良く見せかけたり、安く見せかけたり、消費者をごまかすような表現はしてはいけません。
例えばこのような表現は景品表示法違反にあたります。

  • 地域No. 1(※第三者の調査など根拠がない)
  • 世界初(※他社で類似商品が販売されている)
  • 食事制限なしで−5kg(※裏付けとなる資料がない)
  • 最安値(※他社の割引サービスを適用していない)
  • たった〇〇円(※他にも追加費用がかかる)

嘘や誇張は言わない

ホームページでは嘘や誇張は使わないようにしましょう。

例えば「地域No. 1」を使いたくても根拠がないなら、実績件数やお客様の声をアピールします。
事実に基づいた表現にこだわり、景品表示法に引っかからないようにしましょう。

特定商取引法

「特定商取引法」は、消費者トラブルが起こりやすい通信販売や訪問販売に対して、事業者が守るべきルールを定めています。

ホームページは、最終的に商品購入やサンプル注文などに誘導する形になっていると思います。
つまりネットによる広告がきっかけで申し込みを行う取引=通信販売にあたります。

ネットで一度でも注文した経験があるなら分かると思いますが、初めて注文するサイトでは「本当に商品が届くのかな」「個人情報だけ抜き取られたりしないかな」と不安を感じますよね。
万が一トラブルが発生したとき、事業者に連絡したいのに電話もつながらない、メールアドレスも存在しないみたい…となったら、消費者は泣き寝入りするしかありません。

消費者を守るために、事業者は連絡先などを公開してね、というルールが特定商取引法なのです。

特定商取引法に基づく表記を書こう

特定商取引法では、ホームページで表示するべき項目が決まっています。
※商品・サービスによって省略できる項目もあるので、詳しくは通信販売|特定商取引法ガイドをご確認ください。

特定商取引法に基づく表記
  • 事業者の氏名(名称)
  • 事業者の住所、電話番号
  • 販売価格
  • 送料、その他かかる費用
  • 支払い時期、方法
  • 商品の引き渡し時期
  • キャンセル・返品・交換の方法

ヘッダーやフッターなどに特定商取引法に基づく表記のリンクを設置し、消費者が確認しやすいようにしておきましょう。

個人情報保護法

「個人情報保護法」は個人の権利や利益を守ることを目的に制定された法律です。
個人情報とは、個人を特定できる情報であり、氏名や生年月日・顔写真などが含まれます。

個人情報に含まれるもの
  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • 顔写真
  • メールアドレス
  • ID、ユーザー名

ここで注意したいのが、メールアドレスとユーザー名です。
メールアドレスやユーザー名はドメイン名などから特定の個人を識別できるため、個人情報にあたります

つまり「メルマガでメールアドレスを取得する場合」「会員制サイトでユーザー登録してもらう場合」は個人情報保護法を遵守する必要があります。

プライバシーポリシーに記載しよう

個人情報の取り扱いについて、プライバシーポリシーに記載しましょう。

プライバシーポリシーに記載する内容
  • 利用目的
  • 利用目的の範囲でのみ利用すること
  • 情報漏洩などが起こらないよう安全に管理すること
  • 第三者に提供する前に本人の同意を得ること
  • 本人から開示が求められたら迅速に対応すること
  • 個人情報取り扱いに関する相談先・連絡先

特定電子メール法  

「特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)」はホームページでメルマガ運用するなら押さえておくべき法律です。
いわゆる迷惑メールを規制し、良好なインターネット環境を保つことを目的に制定された法律です。

サイトへ誘導しているメールや商品の宣伝をしているメールも特定電子メール法の対象となります。
例えばサイトの更新をメールで受け取るためにメルマガ登録したのに、まったく知らない商品を広告されたら「うざいな…」と思いますよね。
このときメルマガ解約の方法や送信者の名前などがメールに書いていなければ、配信停止したくてもできません。

メールは受け取らない設定にできるようにしましょうね、という法律です。

メルマガ配信停止できるようにする

メルマガを配信するときは「オプトアウト」を行いましょう。
オプトアウトとは、受信者が要らないと思ったときに、すぐ配信停止できるようにしておくという意味です。

具体的には以下のような情報をメールに記載します。

オプトアウト
  • 送信者の氏名、名称
  • 受信拒否できる旨
  • 受信拒否をするためのメールアドレスまたはURL
  • 送信者の住所
  • 苦情・問い合わせなどを受け付ける電話番号、メールアドレス、URL

まとめ

今回はホームページを運営する上で知っておきたい法律とその対処法を紹介しました。

まとめ
  • 不正競争防止法
  • 薬機法
  • 景品表示法
  • 特定商取引法
  • 個人情報保護法
  • 特定電子メール法

「知らなかった…」という法律もあったのではないでしょうか。
大きなトラブルに発展する前に、対応しておくことが大事ですよ。