広告は消費者の判断に大きな影響を与えるため、正確で信頼できる情報が求められています。

しかし最近では、誇大な広告や消費者を誤解させる表示が問題となっており、企業の信頼性を損なう原因にもなっています。

東京都はインターネット広告に対する監視について、令和5年度の結果を公表しました。今回は、景品表示法について具体的な事例を交えながら解説します。

サイト運営者として、法に触れないために確認しておきましょう。

ネット広告の監視・指導結果(令和5年度)

東京都生活文化スポーツ局消費生活部取引指導課は、インターネット上の広告に対して監視を行い、令和5年度では約16,000件の広告を確認しました。

そのうち、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に基づく指導が行われた事業者は153社に及びました。具体的には、「優良誤認」が150件、「有利誤認」が26件確認されました。

優良誤認とは、商品やサービスの品質について、実際よりも優れているかのように消費者を誤認させる表示を指します。有利誤認は、価格や取引条件について、実際よりも有利に見せかけて消費者を誤解させる表示です。

特に、健康食品や化粧品、雑貨に関する広告で誇大な効果をうたうものが多く見受けられ、消費者に対して不当な印象を与える表示が問題視されています。

景品表示法違反となる例

東京都の監視・指導で指摘された具体的な違反例を紹介します。

  • ○○だけで痩せる
  • ナンバーワン
  • 期間限定割引

日常的に目にする表現ばかりですが、法的に問題となるケースが多いため、サイト運営者として注意が必要です。

○○だけで痩せる

「飲むだけで簡単ダイエット」や「運動・食事制限なし!」といった表現は、商品(健康食品)を摂取するだけで容易に痩せることができるかのように消費者に伝わります。

しかし、実際には合理的な根拠がない場合がほとんどです。根拠のないまま痩身効果を大々的に宣伝することは、景品表示法だけでなく薬機法にも違反する可能性が高く、指導の対象となります。

ナンバーワン

お客様満足度No.1」や「ランキング6冠達成!」「顧客満足度99.7%達成!」といった表現は、商品やサービスが他社と比べて圧倒的に優れているとアピールできます。訴求力が高く、会社としてはぜひ使いたいでしょう。

しかし、客観的な調査に基づいていなかったり、具体的な根拠を示していない場合、誤解を招く可能性があり、違反となります。

期間限定割引

「期間限定キャンペーン!」「○月○日まで○○%OFF!」といった期間限定を強調する広告も、景品表示法違反となる場合があります。実際には、キャンペーンが期間終了後も延長されていたり、明確な期限が表示されていないケースが見受けられます。

普段より安いことを伝えるのは構わないのですが、日付・期間に関しては正しく記載しましょう。

景品表示法を違反するとどうなるか

景品表示法に違反すると、まず「消費者庁や都道府県による措置命令」が下される可能性があります。

措置命令には、「今後同様の表示を行わないこと」はもちろん、「違反表示をしていたことを一般消費者に周知すること」「再発防止のための措置を講じ、役員や従業員に周知徹底すること」などが含まれます。

違法と判断された広告表示や商品パッケージの変更が必要となり、そのための費用が高額となる場合があります。

さらに、措置命令の内容は消費者庁や都道府県のWebサイトに公開され、新聞などでも報道されることが一般的です。誤った広告表示を行っていたことが広く知られ、企業の信頼性が大きく損なわれるでしょう。

売上が大きな企業に対しては、消費者庁による「課徴金納付命令」が下されることもあります。

違反が見つかった場合、「表示をやめれば済む」といった簡単な問題ではなく、ビジネスへの影響が大きいため、常に法令を遵守した広告運用が求められます。

まとめ

今回のニュースを通じて、インターネット広告における景品表示法の重要性を再認識することができました。

誇大な広告や不当な表示は、一時的な集客効果を得られるかもしれませんが、消費者の信頼を損ない、企業の信用に大きなダメージを与えるリスクがあります。

法的に正しい表示を心がけ、誤認を招かないように広告表現を見直すことが大切です。

サイトや広告を運営する上で、景品表示法以外にも知っておきたい法律があります。以下の記事にて分かりやすく解説していますので、あわせて読んでみてください。