企業にとって、ホームページはビジネスの顔となる重要な要素です。
しかし、急速に変化するテクノロジーや顧客のニーズに合わせて、ホームページの役割や機能も変化しています。

この記事では、トレンドの変化に焦点を当てて、中小企業がこれからどのようにホームページを運営したほうがよいかを提案していきます。
ホームページ戦略を見直すために、ぜひ参考にしてください。

パーソナライズドコンテンツを導入する

ホームページ運営において、ユーザーエクスペリエンス向上を実現するために注目されているのが「パーソナライズドコンテンツ」です。
「パーソナライズドコンテンツ」とは、ユーザーの興味や行動履歴に基づいてカスタマイズされたコンテンツを提供する手法です。

例えば、大手ECサイトAmazonは、顧客の閲覧・購買履歴を分析して、それぞれのユーザーに合わせた商品や広告を表示しています。
この「パーソナライズドコンテンツ」をホームページにも導入する会社が増えてきました。

閲覧履歴にもとづいて関連記事を表示する

ウェブサイト訪問履歴やクリック履歴をもとに、個々のユーザーが関心を持ちそうな情報を提供しましょう。
例えば、特定の商品やサービスに関連するコンテンツを表示したり、閲覧履歴にもとづいて関連記事を案内します。

ユーザーは自分にとって価値のある情報にアクセスできるため、サイトへの訪問が継続的に増え、滞在時間も延びる効果があります。

ユーザーの満足度が高まる

ユーザーが「自分向けの情報を得られる」と感じると、サイトへの満足度が向上します。
結果的に、顧客ロイヤルティの向上や口コミによ拡散が期待できます。

例えば、ECサイトで購買履歴にもとづいて関連商品を提案すると、顧客が新たな商品に出会うきっかけが増え、売上拡大につながります。

個人情報の取り扱いには注意

「パーソナライズドコンテンツ」ツールを導入する際には注意が必要です。
プライバシーへの配慮が必要であり、個人情報保護法やプライバシーポリシーの遵守が求められます。

過度なカスタマイズは逆効果となることもあるため、バランスを保ちつつ提供する情報を選定しましょうね。

モバイルファーストデザインへ切り替える

「モバイルファースト」へのシフトは中小企業にとって重要な戦略です。
近年は、多くのユーザーがスマートフォンやタブレットを使って情報を探します

このため、ホームページにモバイルフレンドリー(=モバイルでも使いやすいデザイン)を取り入れることが求められています。

スマホユーザーも使いやすい

レスポンシブデザインとは、ウェブサイトがユーザーのデバイスの画面サイズや解像度に自動的に適応するデザインのことを指します。
ユーザーはどのデバイスからでも表示が崩れず、使いやすく&読みやすくなります。

スマホから自社サイトをチェックして、画面サイズに調整されていなければ、サイト開発者に相談しましょう。

Googleが推奨している

Googleはモバイルファーストデザインを推奨しています。

レスポンシブ デザイン: ユーザーのデバイスの種類(パソコン、タブレット、モバイル、非視覚系ブラウザなど)に関係なく、同じ URL で同じ HTML コードを配信しつつ、画面サイズに応じてコンテンツの表示方法を変更します。Google では、実装と維持が最も簡単なデザイン パターンとしてレスポンシブ ウェブ デザインをおすすめしています。

モバイルファースト インデックスに関するおすすめの方法 | Google 検索セントラル  |  ドキュメント  |  Google for Developers

スマホでも使いやすい表示にすることは、Googleにもユーザーにも良い印象を与えるでしょう。

情報の優先順位を決める必要あり

モバイルファーストデザインを導入するにあたり、注意しなければいけない点もあります。
画面サイズが小さいデバイスでは、コンパクトな配置やタッチ操作に最適化されたユーザーインターフェースが求められます。

また、デバイスの制約により、一部のコンテンツや機能を優先的に表示する必要があるかもしれません。

伝えたいことすべてを表示させるのは難しいので、「会社としては何を見てほしいか」「ユーザーは何を求めているか」のバランスを考えなければいけないでしょう。

ホームページ運営にAIを活用する

ホームページ運営において、AI(人工知能)との融合は効率化とカスタマーエクスペリエンス向上を実現する鍵となっています。
特にAIチャットボットの導入は、カスタマーサポートや業務プロセスの自動化において多くのメリットをもたらします。

AIチャットボットでリアルタイム応答

多くの企業がホームページにAIチャットボットを導入しており、24時間365日リアルタイムで問い合わせ応答しています。

AIチャットボットができること例
  • 注文方法の説明
  • FAQへのアクセス
  • 注文ステータスの確認

ユーザーの疑問や質問に迅速かつ正確に応じることで顧客満足度が向上します。

AIチャットボットは同時にいくつもの問い合わせに対応できるため、スタッフの負担軽減や人的ミスのリスク軽減にもつながります。

AIを活用して大量に記事を制作する

ホームページ運営において、記事作成はネックですよね。
会社の人間が書くにしても、ライターに外注するにしても、どうしても時間・お金がかかってしまいます。

しかし、AIは大量の情報を高速で分析し、まるで人間が書いたかのような文章を生成します。
短時間で質の高い記事を提供できるため、集客・売上などの結果が早く出るでしょう。

人間とAIのバランスを取る

AIはとても便利ですが、AIに完全に業務を委ねるのではなく、人間とAIが協力し合う仕組みを築くことが求められます。

例えば、AIチャットボットが解決できない複雑な問題や感情的なサポートが必要な場合には、人間が介入します。
人間の温かみや判断力を大切にしつつ、AIのスピードと効率性を組み合わせて、バランスの取れたホームページ運用をしていきましょう。

インタラクティブな要素を活用する

ホームページの魅力を高め、ユーザーエンゲージメントを向上させるために、インタラクティブな要素の導入を検討しましょう。
「インタラクティブ」とは、ユーザーとの相互作用を通じてコンテンツを体験する手法を指します。

双方向のコミュニケーションとなり、コンバージョン率の向上に大きな影響を及ぼします。

対話・体験がつながりを強める

インタラクティブとして分かりやすいのは、クイズやアンケートでしょう。

インタラクティブの例
  • クイズやアンケート
  • コンテンツへのコメント欄
  • フォーラムの設置
  • 動画
  • アニメーション
  • VR/AR

動画では、選択肢があらわれ、その選択によって次の内容が変わる、といった使い方をします。

ユーザーがコンテンツに関わることで、ブランドとのつながりを感じ、忠誠心やコミュニティの形成が促進されます。

相手に合わせた提案ができる

インタラクティブな要素はユーザーにとって魅力的なコンテンツとして留まり、購買やアクションへの意欲を高める効果もあります。

例えば、対話型の要素を組み込んでユーザーの関心やニーズを把握し、それに合わせた提案を行えば、コンバージョン率向上が期待できます。

セキュリティと信頼性の確保

中小企業がホームページを運営する際、セキュリティと信頼性の確保は極めて重要です。
ウェブサイトにはさまざまな脅威が存在します。

セキュリティ対策を怠ると、企業の信用や顧客情報が危険にさらされる可能性があります。

個人情報を守る

ホームページには個人情報や機密データが含まれることがあり、悪意ある第三者が盗み出す危険性が存在します。
また、マルウェアやサイバー攻撃によってサイト自体がダウンしたり、不正アクセスによるデータ改ざんが行われたりする可能性も考えられます。

セキュリティを軽視していると、顧客からの信頼を失うだけでなく、金銭的な損失や法的な問題を引き起こす可能性があります。

ホームページの分かりやすい場所に、情報の収集・保存・取扱いに関するプライバシーポリシーを設けることが求められます。
さらに、セキュリティの高いデータベースの導入やアクセス権の適切な管理・従業員教育なども実施する必要があるでしょう。

専門家のアドバイスを受けながら継続的に強化していくことが重要です。

SSL証明書を取得する

SSL証明書やペンテストの導入効果についても考えましょう。
SSL証明書はサイトとユーザー間のデータ通信を暗号化し、第三者からのデータ傍受を防ぐ役割を果たします。

簡単に言えば、ホームページのリンクが「http」ではなく「https」になっているかどうか、ということです。

ユーザーとサイトのセキュリティ向上のために、ウェブサイトでは HTTP ではなく HTTPS の使用をおすすめします。HTTP を使用するサイトには、Chrome ブラウザで「安全でない」という表示が付く可能性があります。HTTPS でサイトを保護する方法についてご覧ください

サイト運用 SEO メンテナンス ガイド | Google 検索セントラル  |  ドキュメント  |  Google for Developers

SSL証明書を取得しているサイトなら、ユーザーは安心できるでしょう。

ペンテストを行う

ペンテスト(ペネトレーションテスト)はエキスパートが実際にテストして、セキュリティの脆弱性を発見し修正する手段です。
定期的なペンテストの実施は、未知の脅威に対する準備を強化し、ウェブサイトの安全性を高める効果があります。

ただし、費用が数百万円と高額なので、大規模サイト以外は現実的ではないでしょう。

環境・社会への貢献を発信する

現代のビジネスにおいて、環境と社会への貢献は単なるトレンドではなく、企業の存続と発展において不可欠な要素となっています。
ホームページで企業の使命や価値観を伝えれば、顧客からの支持を得ながら、持続可能な未来への一翼を担えます。

SDGsへの取り組み

SDGs(持続可能な開発目標)は、環境や社会に関わる17の目標です。

SDGs17の目標
  • 貧困をなくそう
  • 飢餓をゼロに
  • すべての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 安全な水とトイレを世界中に
  • エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤を作ろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • つくる責任、つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさも守ろう
  • 平和と公正をすべての人に
  • パートナーシップで目標を達成しよう

組織のビジョンに統合することで企業の社会的責任を果たし、持続可能な未来の構築に貢献します。
例えば、クリーンエネルギーの導入や循環型ビジネスの推進は、エネルギー消費や資源の効率的な利用を促進し、経済的な利益だけでなく環境にも好影響を与えます。

自社の特性や事業領域に合わせてSDGsに取り組み、ホームページで発信し続ければ、ブランド価値の向上を図れるでしょう。

CSR活動

CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業の活動が社会や環境に及ぼす影響を考慮し、環境保護や社会貢献などを通じて社会的な責任を果たす考え方です。

CSR活動のひとつには、「顧客・従業員・株主・地域社会など、利害関係者に対して説明責任を持ちながら行動すること」があります。

特に、製品やサービスに関する積極的な情報開示は信頼を築き、業績向上につながるでしょう。

まとめ

ホームページは進化し続けなければいけません。

未来に向けた、おすすめの対応
  • パーソナライズドコンテンツ
  • モバイルファーストデザイン
  • AIの活用
  • セキュリティと信頼性の確保
  • 環境・社会への貢献

自社のホームページ戦略の見直しを行い、競争力強化とブランド価値向上を目指しましょう。