テキストでのコミュニケーションは、対面でのコミュニケーションよりも誤解や衝突が生じやすいものです。
文章には声のトーンや表情などの非言語情報が含まれないため、読者が受け取る印象は書き手の意図と異なることがあるからです。
記事で誤解や衝突を防ぐためには「アサーティブ・コミュニケーション」を意識することをおすすめします。
アサーティブ・コミュニケーションとは、相手を尊重しながらも、自分の主張を明確に伝えるコミュニケーションを指します。
そこで今回はサイト運営者なら知っておきたい「アサーティブ・コミュニケーション」について説明します。
ライター兼コンサル
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アサーティブ・コミュニケーションとは
自分の主張を一方的に述べるだけでは、衝突や炎上に発展してしまうかもしれません。
「アサーティブ・コミュニケーション」とは、相手を尊重しながら、自分の意見や要望を伝えるコミュニケーションスキルです。
記事制作において、アサーティブ・コミュニケーションが効果的な理由はいくつかあります。
- 自分の意見をしっかり伝えられる
- 衝突や炎上を回避できる
- 信頼関係を構築できる
詳しくみていきましょう。
自分の意見をしっかり伝えられる
「読者を意識しすぎて言いたいことが言えない」「本当の気持ちは違うんだけど、相手が求めてそうなことを書こう」これでは文章を書くのがつらくなってしまいますよね。
アサーティブ・コミュニケーションを身につければ「意見を伝えるのに異常に遠慮する必要はない」と理解できます。
自分の意見や要望をしっかり伝えられるようになるでしょう。
衝突や炎上を回避できる
対面でのコミュニケーションと異なり、テキストでのコミュニケーションは誤解や衝突が生じやすいものです。
書き方によってクレームが寄せられたりすることもあります。
例えば社長や取引先など立場が上の人には相手を喜ばせるような態度で接し、自分の立場より下の人には攻撃的な表現を使う、というケースもよくありますよね。
ただ、このように明らかな区別をする人はまわりから好かれません。
アサーティブ・コミュニケーションでは、目の前の相手を尊重する姿勢が大切です。
職業(立場)や性別などで態度を変えません。
言葉選びを意識して相手と対等な関係を築ければ、衝突・炎上を回避できるでしょう。
信頼関係を構築できる
アサーティブ・コミュニケーションでは、自分の意見や要望を直接的かつ率直に伝えます。
そのため読者に行動してほしいこと(問い合わせや資料請求など)も誤解なく伝わります。
読者があなたを信頼し、協力したり購入したりする傾向が高まるので、サイト運営ひいてはビジネスの成功につながるのです。
アサーティブ・コミュニケーション4つのポイント
アサーティブ・コミュニケーション普及に取り組む特定非営利活動法人 アサーティブジャパンでは「アサーティブ・コミュニケーションには4つの柱がある」としています。
- 誠実
- 率直
- 対等
- 自己責任
ここではアサーティブ・コミュニケーションにおける4つのポイントを説明します。
誠実
自分にも相手にも嘘をつかず、正直に伝えましょう。
自分の意見や要望を偽ったり、情報を隠したり、相手を誤解させるような表現を使ったりすることは、相手を尊重していないことになります。
誠実な文章を通じて、読者があなたの言葉を信じ、協力的な関係へと発展します。
率直
意見や要望を明確に伝えることが、誤解を避け、効果的なコミュニケーションを実現する鍵です。
意見を主張する際に遠回しな表現を使うのではなく、主語を「私」にするなど自分の立場や考えをはっきり伝えます。
これにより、相手はあなたのメッセージを理解しやすくなります。
対等
あなたと相手との関係は対等です。
どんな相手に対しても冷静に接し、堂々とした態度を保ちましょう。
威圧的な態度をとったり、相手の立場を軽視したりしません。
自己責任
「自分の行動や意見によって生じる結果は、自分が責任を持つ」という考え方です。
例えばブログで意見を主張して読者が怒ってしまった場合も、自分の責任として受け止めます。
他人や状況を責めるのではなく、自分の選択や行動について責任を感じ、改善点を見つける姿勢を意識しましょう。
アサーティブ・コミュニケーションを実践するためのDESC法
アサーティブ・コミュニケーションを実践するための具体的な手法として「DESC法」があります。
DESC法とは、以下の4つのステップで自分の意見や要望を伝える方法です。
- 事実を客観的に伝える(D: Describe)
まずは、事実を客観的に伝えます。
自分の意見や要望を主張する前に、相手に状況を正しく理解してもらうことが大切だからです。
例えば同僚の文章の誤字脱字を指摘する場合、「文章を確認しているうちに、いくつか誤字脱字を見つけました。具体的な箇所を指摘しますね。」といった風に伝えます。
- 自分の感情や考えを伝える(E: Express)
このステップでは、事実に対して、率直に自分がどのように感じているかを伝えます。
例えば「誤字脱字が記事の信頼性に影響を与える可能性があると感じました。」と述べます。
- 相手に期待する行動を伝える(S: Specify)
次に、相手に希望する具体的な行動を伝えます。
何をして欲しいかをはっきりさせることで誤解を防ぎます。
例えば「最後の段落に『業績』が『業績っ』と誤って入力されています。修正していただけますでしょうか。」と伝えます。
- 相手に選択肢を提示する (C: Choose)
最後に、相手に選択肢を提示します。
アサーティブ・コミュニケーションは双方向のコミュニケーションであり、相手にも選択肢を持つ機会を与えます。
相手が受け入れやすい方法で自分の主張を実現できるように、いくつかの選択肢を提案します。
例えば「誤字脱字を訂正する際、手伝いが必要であれば教えてください。また、他の文章を書く時も声をかけてくれたらいつでもチェックしますよ」と提案します。
アサーティブ・コミュニケーションの具体例
文章では相手が見えないため、つい一方的な表現を使ってしまいがち。
アサーティブ・コミュニケーションの原則に沿って、NG例と言い換え例を紹介します。
「~してください」→「~していただけますか」
「~してください」は相手に命令や要求をする表現です。
相手を尊重するアサーティブ・コミュニケーションにおいては、命令や要求ではなく、依頼や提案の形で伝えることが大切です。
「~してください」という表現を「~していただけますか」「〜してみてはいかがでしょうか」と言い換えると、丁寧で礼儀正しい印象に変わります。
- ~していただけますか。
- 〜してみてはいかがでしょうか。
- ~してもらえませんか。
- ~してもらえると助かります。
「~はダメです」→「~だと、ちょっと不安です」
「~はダメです」といった表現は、相手の行動や人格を否定するものです。
「~だと、(私は)ちょっと不安です」などに言い換えると、相手を攻撃することなく、自分の感情や考えを伝えられます。
- ~だと、ちょっと不安です。
- ~について懸念があります。
- 〜してもらえると嬉しいです。
- ~に改善の余地があります。
「〜してはいけない」→「〜しない方がいい」
「〜してはいけない」「〜すべきではない」といった強制的な表現は説得力が増しますが、衝突につながるかもしれません。
もう少し柔らかい表現で、相手が行動を選択できるようにしましょう。
- 〜しない方がいいかもしれません。
- 〜しないようにしたいですね。
- ~はおすすめしません。
- ~は控えた方が賢明です。
まとめ
今回は文章で誤解や衝突を防ぐために取り入れたい「アサーティブ・コミュニケーション」について説明しました。
アサーティブ・コミュニケーションを身につけると、自分の意見や要望を相手に伝えやすくなり、円滑なコミュニケーションを実現できます。
ぜひ、記事を書く際にアサーティブ・コミュニケーションを意識してみてください。