「記事は読まれているはずなのに、なぜか問い合わせにつながらない」そんな悩みを感じたことはありませんか?
原因のひとつに、「心理的リアクタンス」という心の働きがあるかもしれません。
本記事では、心理的リアクタンスの基本と、読者の行動を自然に促すためのコツについて解説します。行動につながる記事・LPを作りたい方は、ぜひ参考にしてください。

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心理的リアクタンスとは何か?
まずは、心理的リアクタンスの仕組みと、実務でどのように影響するのかを見ていきましょう。
「命令されると反発したくなる」心の反応
「心理的リアクタンス」は、1966年に心理学者ジャック・ブレームが提唱した概念です。
簡単に言えば、人が自分の自由を脅かされたと感じたときに生まれる心理的な抵抗感のことです。
たとえば「いますぐ申し込んでください」と言われると、「いや、今じゃない」と思ってしまうような反応です。
説得が逆効果になる!?営業・人事・広報でも影響大
リアクタンスが厄介なのは、こちらが良かれと思って伝えた内容であっても、相手の心に“圧”として伝わる可能性があるという点です。
たとえば営業で「今すぐご契約を」と迫られても、すぐに「分かりました!」とは言わないでしょう。
Web発信でも、「登録しないと損します」などの強いコピーは読者の反発を招き、かえって行動を遠ざけてしまうのです。
逆に言えば、リアクタンスを理解しておけば、「読まれるだけで終わる文章」から、「行動につながる文章」へと改善することができます。
カリギュラ効果との違い
これまでの説明を読んで、「カリギュラ効果(またはカリギュラ現象)」という言葉を思い出したかもしれません。
カリギュラ効果とは「強く禁止されると、かえってその対象に対する欲求が高まる」という心理現象で、心理的リアクタンスの一種です。
名称は、1980年公開の映画『カリギュラ』に由来します。
過激ゆえにアメリカの一部地域で上映禁止となったことで、日本では「禁止されたからこそ話題になった」現象として注目されました。
リアクタンスが「反発」や「拒否反応」を広く含むのに対し、カリギュラ効果は「逆に興味・欲求が高まる」という現象に焦点を当てた、より限定的なケースだといえるでしょう。
心理的リアクタンスの具体例
ここでは、心理的リアクタンスの例を挙げます。きっと、発信が届かない理由のヒントが見えてくるはずです。
リモートワーク→週5出社の指示
コロナの影響でリモートワークに切り替わった方も多いと思いますが、もし「来週から週5で出社お願いします」と言われたら、モヤっとした気持ちになりませんか?
それまでリモートでうまくやれていた人にとっては、「自由を奪われた」「信用されていない」と感じるスイッチが入ってしまいます。
たとえ業務上は合理的でも、押しつけられた感覚が先に立ち、素直に従えなくなってしまうのです。
親から子へ「勉強しなさい」
親が子どもに「勉強しなさい!」と言うと、子どもがやる気をなくす。 これは子育てあるあるの代表例ですが、大人も例外ではありません。
「〇〇すべきだ」と言われ続けると、たとえ正しい提案であっても、どこかで「今やろうと思ってたのに…」と反発したくなる。
行動の主導権を奪われた感覚が、嫌悪感を生み出すのです。
「登録しないと損します」
「今すぐ登録しないと損する」といった強い訴求を入れたのに、反応が悪い。Web担当者なら、きっと同じ経験をしたことがあるでしょう。
それも、読み手が「急かされている」「コントロールされそう」と感じているサインかもしれません。
相手に命令として伝わった瞬間、リアクタンスが働き、行動を回避してしまうのです。
○○禁止
「関係者以外立入禁止」などの看板を見ると、なぜかその先が気になってしまう。
「この動画は絶対に見るな」と言われると、逆にクリックしたくなる。
こうした反応もリアクタンスの一種です。「ダメ」と言われると、人はその自由を回復したくなってしまうんですね。
- 立ち入り禁止
- 外出禁止
- 撮影禁止
- 閲覧禁止
心理的リアクタンスを起こさずに、行動を促す表現
では、読者に心理的リアクタンスを感じさせないためには、どうしたらいいのでしょうか。
ここからは、記事やLPで自然と行動につなげるための実践テクニックを紹介していきます。
「選ばせる」ことで自由を保つ
人は「自分で決めた」と思えるときに、積極的に動きます。
たとえば「今すぐ登録してください」と命令調に伝えるのではなく、「必要であれば無料でお試しいただけます」と選択肢を示します。
「あなたが選べる」というメッセージを含めれば、読者は反発を感じずに行動しやすくなるでしょう。
押しつけ感を抑える
「今すぐ始めないと時間を無駄にします」「○○な人は絶対やって」といった断定や命令はよく見かけますが、少しうざいというか胡散臭いというか…。
強すぎる表現は、それだけでリアクタンスを生んでしまいます。
もし記事で用いているのであれば、「こうした方法もあります。ご自身に合うものを選んでください」のように書き換えてみてください。
提案や紹介のニュアンスに変えるだけでも、印象は大きく変わります。
「なぜ必要か」を伝えて納得感をつくる
心理的リアクタンスは、目的や背景が見えないときに強くなります。
「週5で出社してください」とだけ言われると反発を感じやすいですが、「○○の業務効率を高めるために、週5の出社が必要です」と理由を添えるだけで納得度が変わりますよね。
読者も「そう言われればそうだな」と感じると、無理なく動けるのです。
あえて言わない
心理的リアクタンスを避けるために、言い切らないことが有効な場合もあります。
たとえば記事の最後に「お問い合わせはこちら」と書かず、「詳しくはこちら」など曖昧な表現を使うのもひとつの手です。
もしくはCTAを載せるだけにすることで、プレッシャーを感じさせずに済みますよ。
心理的リアクタンスの注意点
心理的リアクタンスを避けようとするあまり、表現が過度に弱くなってしまう恐れがあります。
「押しつけない」「自由を尊重する」という姿勢は大切ですが、行きすぎると、何を伝えたいのか分からない、印象に残らない文章になってしまうでしょう。
リアクタンスを避ける本質は、選びたくなる状況をつくることです。
たとえばLPで「ご自由にどうぞ」とだけ書かれていても、読者はどうしてその商品が必要なのか判断できません。
一方、「○○のような悩みを持つ方には、このような方法があります」といった提案型の表現なら、主体性を尊重しつつ行動にもつなげやすくなります。
強く言うべきところは強く、伝えるべきことは堂々と。そのうえで、相手に選ぶ余地や納得の余白を残す。記事を書く際は、このバランスを意識するようにしましょう。
まとめ
心理的リアクタンスは、人に行動してもらいたい場面すべてに影響する重要な心理です。
こちらが正しいことを伝えているつもりでも、「押しつけられた」と感じさせてしまえば、相手の反応は鈍くなってしまいます。
逆に言えば、伝え方を少し変えるだけで、反発を抑えることができます。これは、単に反応率やクリック率を高めるためのテクニックではありません。
読者との信頼関係を築き、長期的なコミュニケーションを設計するための姿勢でもあります。
あなたの発信が変われば、読者の感じ方も、動き方も変わります。ぜひ今日から、「どう伝えるか」を見直してみてください。
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